超有名、平安時代で作者不詳の「竹取物語」。今一度子どもの頃に戻って思い出してみましょう。

今回は「現代口語訳」から「古財びと訳」としてみました。お楽しみいただければ幸いです。

今はもう遠い昔のお話し・・・ 竹取翁は、竹藪の中で1本だけ根元が光る竹の中に、それはそれは小さな女の子が座っているのを見つけました。

連れて帰り育てているうちに、3ヶ月もすると美しい姫になりました。翁は竹から黄金を得ながら、少しずつ豊かになっていきます。姫の名は「かくや姫」と名付けられました。

やがて噂を聞きつけ、求婚者があたりをうろつき始めるようになりました。熱心に求婚したのは、その中の5人の貴公子でした。何としても求婚を拒否したいかくや姫は、「無事に宝物を持ってきた人と結婚します」と言って、無理難題を押し付けます。

それぞれの貴公子に押し付けた宝物は、
①石作皇子(いしづくりのみこ)→「仏の御石の鉢」
②庫持皇子(くらもちのみこ)→「蓬莱の玉の枝」
③安倍御主人(あべのみうし)→「火鼠の皮衣」
④大伴御行(おおとものみゆき)→「龍の首の玉」
⑤石上麿足(いそのかみのまろたり)→「燕の子安貝」

①石作皇子は、3年を経て仏の御石の鉢としてニセモノを持ってきますが、蛍ほどの光も無くニセモノと見破られてしまいます。

②庫持皇子は、蓬莱の玉の枝を職人に作らせました。本物そっくりに出来上がった枝を携えて姫に会いに行きます。蓬莱山へ行った作り話を延々と聞かされ、かぐや姫も騙されそうになります。そこへ職人が未払の報酬を要求しにきて、ウソがばれてしまいます。皇子は職人を懲らしめ、ジウ部自身も行方不明になってしまいます。

③安倍御主人は、火鼠の皮衣を唐の商人に頼み、使いも送り購入します。喜んで姫に持っていくと、本物なら燃えないと言われ火に放り投げれたところ、皮衣は見事に焼けてしまいました。

④大伴御行は、姫のために家を作ると、龍の首の玉を取りに出かけます。しかし嵐に襲われ、たいそう怖い思いをし、龍に命乞いをします。やっと帰宅すると、家族や知人に嘲笑されてしまいます。

⑤石上麿足は、燕の子安貝を取ろうとして、吊られた籠で燕の巣までどうにか登り切り、やっとの思いで何かをつかみ取り、下に降りようとしたところ、八嶋鼎に落ちてしまいました。手にしていたのはなんと糞(ふん)でした。落ち込んでいたところに、かぐや姫から歌をもらい、少しは元気になりましたが、やがて死んでしまいました。

かぐや姫の評判は帝(みかど)にも届きました。帝は使いを遣わし、自らも竹取翁の言えまで来て、かぐや姫を連れていこうとしますが、かぐや姫は断ってしまいます。3年後には月に帰らなければならないと泣くようになりました。
8月の十五夜、帝の護衛が大勢で守ろうとしますが、なす術もありません。空から降りてきた人に「かぐや姫の作った罪が終わったのでお迎えにきた」と言われ、竹取翁は嘆き悲しんでしまいます。

かぐや姫は衣を脱ぎ、帝に手紙を書きました。着れば人の心が変わるという「天の羽衣」をまとい、天の車に乗って天人を引き連れ、月に帰ってしまいます。手紙と一緒に帝に届けられた不老不死の薬は、富士山の頂で燃やされます。そのとき武士を大勢連れて登ったので「ふじの山」というようになりました。煙はまだ立ち上っていると言い伝えられています。

ここでQ&A。

Q.「かぐや姫」が見つかった竹の名前は?
 A.「孟宗竹」との回答が主流です。

Q.「かぐや姫」の「かぐや」とは?
 A.光り輝く(かがよふ)、陽炎(かげろう)から。

Q.「かぐや姫」の「冤罪」とは?
 A.月の王の求婚を拒んだから。

Q.「月から降りてきた車」とは?
 A.飛ぶ車で、絵画的には「神輿」が描かれています。

現代の科学と違い、古代人は想像力豊かで、自然の中に興味を抱き、和歌や俳句を詠む習慣がついていたのですね。