竹の特徴ですが、「伸び方がハンパ」じゃありません。大抵の竹は、1年以内でタケノコから成長して全高に達します。1日に1.5m以上伸びることもあります。

常緑で幹は真っすぐ、節も間隔が一定で、立ち姿が美しいことから古来より鑑賞的な価値が高く評価され、墨絵にも好まれてきました。

中国においては竹を詠んだ詩文も多く、晋の時代に「竹林の七賢人」。唐の時代には「竹渓の六逸」。賢人、逸人を称賛する言葉にも用いられてきました。縁起の良い「三友」である「松・竹・梅」の祝い事に使用され、四君子は「蘭・菊・梅・竹」として表記されます。

では、竹の種類についてご紹介いたします。海外、国内共に種類が多いため、代表的な竹を挙げてみます。

真竹・苦竹(まだけ)
真竹の筍は少し苦みがあることから、苦竹と書く時もあります。節間が長いのが特徴で、粘りやしなりがあり、日本の竹の中では竹製品、竹工芸、クラフトなどの材料として使用されています。青々とした色合いも美しく、正月飾りや青竹酒器のどの細工としても使われていますが、油抜きをして晒竹(白竹)として竹籠や花籠などの材料で利用されることが多いです。

孟宗竹(モウソウチク)
孟宗竹はもともとは中国原産で、雪の寒い日に年老いた母親のために筍を掘りにいった「孟宗」という人物にちなんでつけられた名前です。中国から江戸時代に日本に入ってきた竹で、最初に植えられたのが京都という説と鹿児島説との二つの説があります。昔から日本にあったかのように生えている孟宗竹ですが、当時より珍重され竹細工以外にも建築資材、農家や両氏が使用する道具にも役立ってきました。厚みも十分あり、身を削りだして制作する作品は孟宗竹の特徴を活かした細工が多いようです。筍も食用とされてきましたが、差筋では竹炭の原料として注目されています。

亀甲竹(きっこうちく)
亀甲竹は、孟宗竹の変異が固定された竹。一節ごとに、まるで亀の甲羅のようにふくらんでいる事から亀甲竹という名前がつきました。デコボコした亀甲の部分が杖の他、釣り竿などの持手として使用されています。また観賞用として庭園に植えられた利、和室の床柱に使われたり、茶道用、華道用としても使われているのが特徴です。

虎斑竹(とらふだけ)
原竹の稈には白い粉がふいたように見えますが、熱を加えて布で拭き上げると虎模様のような斑紋が浮き上がります。この虎竹は高知県須崎市安和の竹林にしか生育しないそうです。虎模様の出る原因は、土中の特殊な細菌のせいとも言われ、どうしてこの虎竹の里でしか生育しないのかは、未だに解明されていない不思議な竹です。ちなみにオーク(ナラ)材には虎斑(とらふ)と呼ばれる模様があります。虎斑は広葉樹には必ずありますが、特にオーク材はよく現れます。この虎斑ですが、建築用語で放射組織と呼ばれ、立ち木の時は養分貯蔵の役割があった細胞のことです。放射組織という名前の通り、木の中心部から年輪を横断するように放射状に広がっているので、木材を柾目取り(木目に沿い平行に製材)した場合に、必ずこの虎斑という模様が出現します。「虎斑が多いナラはいい」と言われますが、これは柾目製品が多い由縁ですね。横道に逸れましたが、オークと竹、果たして因果関係はあるのでしょうか。

淡竹(ハチク)
稈には全体的に粉をふいているように白味を帯びて見える事から、ハチクの名前は白竹からではないかとも言われています。耐寒性があり稈が細く割れる性質があることから、茶筅や提灯の骨などに多用されてきました。中国ではハチクを熱した時に竹から出る油(ちくれきと呼ばれる)は喘息などの漢方薬としても使用されています。

黒竹(くろたけ)
黒竹は小ぶりの竹で、竹林に生えている時から渋い黒色をしているところから黒竹と呼ばれています。紫竹とも言われ稈の美しさから様々な竹細工に利用されたり、鑑賞用として好まれています。

布袋竹(ホテイチク)
布袋竹は、真竹の変種で節間が布袋様のお腹のように見えることから布袋竹と呼ばれ、別名、呉竹(クレタケ)、五三竹(ゴサンチク)とも言われています。しなりがあり、折れにくいという特徴があるので、釣り竿などにも使用されています。

焉竹(スズタケ)
主に比較的標高の高い山地など、寒冷地に多く見られます。稈はしなやかで粘りがあり、非常に堅牢な特徴があり、スズタケ籠やスズタケ弁当箱など、昔から実用的な日用品として使用されてきました。。長い間使用できるので年が経過するにつれ、アメ色に輝きだします。

ゴマ竹
ゴマ竹は、孟宗竹の枝をすべて伐り落として立ち枯れの状態にした竹に、特有のゴマ菌がつき、ゴマ斑がついてしまっている竹です。天候、土質、菌の有無によって変化するので、良質のゴマ竹をつくるのは難しい仕事のようです。別名サビ竹とも呼ばれています。

紋竹(モンチク)
紋竹は、ハチクの変わり種で、特有の菌がついて斑紋のできたものです。どの竹にも一様に出るものではなく、綺麗な雲紋の出たのは珍しく、銘竹、雲紋竹(うんもんちく)、丹波斑竹(たんばはんちく)などと呼ばれています。

煤竹(ススタケ)
煤竹は、藁葺き屋根の天井裏に貼付けて、長年のあいだ煙に燻された竹。銘竹の中でいちばん高価で1本数十万円のものも珍しくありません。100年以上経過したものもあり、煤色に光っている最高級竹材。次第に数量が少なくなり、希少価値が高まっています。

沈竹(チンチク)
沈竹は、株立ちのバンブー類に分類される竹。空洞のある竹にしては珍しく厚く、質量が高く水に沈みます。蓬莱竹(ホウライチク)とも呼ばれています。数百年前に日本に渡来したと伝えられており、川原の土手などに防災用としても植えられてきました。春に多く生える筍が夏に生えることから「土用竹」という呼称もあります。