ヤナギに関しては、基本的な表記は2種類あります。

「楊(やなぎ)」
枝が立ち上がる種類→ネコヤナギ、イヌコリヤナギ等

「柳(やなぎ)」
枝が垂れさがる種類→シダレヤナギ、ウンリュウヤナギ等

総称して「楊柳(ようりゅう)」と称するときもあります。

約400種類ほどありますが、そのうち日本では約50種。ヤナギは北半球に広く分布しますが、南半球でもペルー、チリでも見られます。ヤナギは、水分の多い土地を好み、よく川岸や湿地などに生えますが、街路樹や公園樹などでも見かけることができます。根が強靭で、張りめぐらされており、また倒れたり流されても再び発芽してくる逞しい生命力があります。高山やツンドラ地帯では、地を這うような草より小さなヤナギも存在します。

ヤナギの中で「柳」に関しては、美しさを表現する際に、比喩として使われます。軽く風を受け流す身のこなしから、「柳眉」「柳腰」「柳髪」など、女性のしなやかさを表現しています。

柳は薬用としての効果もあり、解熱鎮痛薬や歯痛止めで用いられてきました。生活用品としては、箱やまな板、マッチの軸棒にも使われており、スポーツ競技であるクリケット用の打ち棒もヤナギを使用しています。

「霊力」のあるヤナギ
ヤナギは種子を多く飛散させ、萌芽も早いことから生命力に満ち溢れており、そのせいか霊力のある木として喜ばれました。

江戸城では、鬼門にあたる場所に魔除けとしてヤナギの木が植えられています。昔は護岸工事が整備されていなかったため、水害や河川の氾濫が多く、成長が早く根がしっかりと張るヤナギを多く植えたようです。そのためか、柳の細長い葉が風でユラユラと揺れると、あたかも人影のように見えたのかもしれません。

しだれ柳に出てくる幽霊は、なぜか細長い華奢な女性が多いですね。昔のように街中を流れる川の畔で、ソバを食べながら夕涼み。そこにシダレ柳! 柳の下では、うどんではなく、ソバが似合うのは何故でしょうか?